希土色の刻

KidocolorOhmichi's Reminiscences

「あるあるネタ」の元祖はビートたけしなんだよ。

現在、お笑いで「あるあるネタ」ってのが、いちカテゴリとして確立された感がある。

もはや一般人でも「ナントカあるある」として日常生活にも溶け込んでいるように思う。

 

しかしこれの元祖がビートたけしである事はあまり(まったく?)知られていない。

俺が知る限り1980年からの「THE MANZAI」から「よくいるバカ」という流れでやっていた。

「行列があると、とりあえず並ぶバカ」や「田舎者のありがちな行動」などとツービート流の毒舌スタイル。

客は「いるいる!」「あー!あるある」と実は自分のことであるのも忘れて笑うという。

確か当時の著作「ツービートのわッ毒ガスだ」でも「あなたはこんなバカではない」との括りで収録されていたと思う。

 

肝心なのは殿本人が「あるあるネタは自分が元祖」と自覚しているという事。

なんでそれを俺が知っているかと言えば、本人に聞いた事があるから。

1985年あたりだったか、当時「新人類」などと気勢をあげていた「中森明夫」が週刊誌上でたけしさんにそのネタで噛みついた事があった。

「“跳び箱を跳べないような奴”とかもっと面白い(これ自体ホントつまらなかった...)言い方が出来ないのか」などと「俺の方が面白いことを言える」的な煽りだった。

当時、各局8時台のゴールデンタイムで視聴率トップを記録し「怖いものなし」のビートたけしに噛みつくような人間はいなかったので、この記事はちょっと話題になった。

ボーヤだった自分はその記事を知り、怒りを感じつつ、殿を窺(うかが)っていた。

しかし、一切リアクションをしないどころか、いつもと全く変わりがない姿に「もしかして記事のことを知らないのでは?」と思い、直接聞いた。

「記事の事はご存じですか?」「反論しないんですか?」と。

曰く「ああ、読んだ読んだ。あいつ、そもそも俺が創ったネタのスタイル上でゴチャゴチャ言ってるだけだって事に気付いてない。ほっとけばいい」

との「まるで意に介してない」といった感じのそっけない返事だった。

以前Twitter でも書いたが、お笑いタレントがたまに使う「と、言うわけで」からはじまるMCは元々「どんなワケなんだよ!」とツッコミが入る前提でビートたけしが考えたもの。

にも関わらず、そんな背景も知らないし「どんなワケなんだよ!」とのツッコミが入らなければ本来成立しない事さえも気付かないまま、ましてやその元祖がビートたけしである事さえ知らぬまま現在までに一般化してしまっているのと同じように、

ラジオのパーソナリティやとんねるずをはじめとした後の世代のお笑いタレントのネタとして「無意識のうちに」それを模倣し「あるあるネタ」として現在に至っている。

つまりそこまでビートたけしがバラエティで築いた「文化」が多大な影響を与え続けている証左だろう。

本人も最近は現在の「バラエティ番組」のスタイルの多くは自分が創ったと語っている。

しかし今回の件は、俺が当時聞いたから俺にはそう答えたが、それ以後そんな事を本人は公の場では言った事はない。

多分それは江戸っ子の気風から無粋で下品な行為と考えているのかもしれない。

でも俺は言っておくべきだろうと思い今回記した。